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2006年12月31日

総括2006

細木数子女史の六星占術によると私は水星人(+)で、今年は「安定」の時期にあたり
「優雅に充実した生活を送るように心がけましょう」ということであったが、
その予想に反して大殺界という冬の周期に突入した1年であった。
しかし、冬の次には春が来る。ここまで落ちてしまうと来年からは昇るだけである。(はず)

1.長野県が発注した県WAN事業受注できず

  6月29日にこの件をコメントした後、blogで結果を公開していなかったので
  改めて、この場で、結果を掲載したい。

  業者選定は金額だけでなく提案内容も加味した総合評価方式にて行われたが、
  提案内容の技術評価が難しかったのか、各社の採点に大きな差がつかず、
  圧倒的に入札金額の配点比重が高くなって、最も安い金額を提示したNTT東日本殿が受注した。

  使用する通信機器の仕様やセキュリティ対策、安全対策、拡張性などについての
  発注側からの条件が緩やかであったことから、提案各社の裁量に任せられた事項も多く、
  「簡素で安価なシステムで金額を抑える」のか、あるいは
  「コストはそれなりにかかってでも十二分な安全性・運用性・拡張性を確保」するのか、
  総合評価方式への対応方法の難しさを実感した業者選定であった。

  技術評価点
        JANIS:2000満点で1267点  技術評価点換算で107.0点
        CTC殿:        1251点              100.5点
        NTT殿:        1235点               94.2点 

  価格評価点
        NTT殿::5年間で 9.88億円 価格評価点換算で 600.0点
        CTC殿:      10.42億円              569.1点
        JANIS:      16.26億円              364.7点

  合計点
        NTT殿::     694.2点
        CTC殿::     669.6点
        JANIS:      471.7点

  正当な評価かどうかは別として、技術評価で最も点数の低かった業者が
  ダンピングもどきの安値で受注したわけであり、
  一県民としては、安かろう、悪かろうの通信システムにならないことを祈るばかりである。

  700箇所に及ぶ県機関への光ファイバー敷設競争になってしまった感があり、
  我々の構想していた「県民による県民のための安全なネットワーク」サービス理念が
  ゼロ種レベルでの不当とも言える価格競争で成就できなかったことは残念であった。
  
  果してあの金額で県が求めた通信サービスを提供できるのかどうか、精査が必要である。
  来年6月のカットオーバーに向けて限られた期間で工事完了を強いられている
  下請け通信工事業者に、金額面でもかなりの無理をさせているとすれば、
  あの入札価格は全くもって「つみ」な金額である。
  

2.IPマルチキャスト通信放送が著作権上も有線放送として再確認へ

  現行法でも条文解釈上は有線放送と扱えることは何度も何度も訴えてきたが、
  我々の主張を明文化することになる著作権法の改正が国会審議中であり、
  こちらは、「正義が勝った」といえるかもしれない。

  栄村の難視聴住民に対してなんとかテレビを観れる環境を、と頑張ってきた甲斐があった。
  特に原向地区の皆さんは県内4民放が全滅であり、そこでIP放送する意義を再確認した。

  これからも現行アナログ放送のIP再送信は実験であれ事業化であれ継続していくが
  今後は、地上デジタル放送の受信環境整備が最大の課題である。
  既に有線電話回線のADSLでも伝送可能な容量である6Mbps程度で
  1920×1024iのハイビジョン放送をH.264/AVC形式で伝送する技術は出現している。
  放送局はエアー向けにMPEG-2でエンコードしているが、IPマルチキャスト向けに
  H.264/AVCでエンコードしてくれれば、通信回線を使ったハイビジョン番組の配信は加速する。

  良い悪いは別にして、放送の県域制度を守りながらのデジタル放送難視聴解消に向けての
  IPマルチキャスト再送信サービスは、ハードウエアの高速化とエンコード技術の進展により、
  現実のものとなっていくであろう。
  

3.BBゼロ地域解消へ国も動き出したが、、

  栄村はテレビが見えにくい代わりに、地元有線放送回線を使ったADSL接続が全村で可能である。
  線路状況が良いため、ADSL加入世帯の9割以上は5メガbps以上、3割以上は10メガbpsで接続されている。
  
  そうかと思うと、菅平高原の峰の原地区はテレビ視聴では問題ないが、NTT局から離れていることから
  高速なADSLサービスができず、JANISの専売特許に近い「リーチDSL」モデムで1Mbps以下で
  接続されている状況であり、ペンションや別荘住民から高速サービスの要求が出ている。

  国の次世代ブロードバンド戦略2010では、2010年までにBB世帯カバー率を100%にし、
  FTTHを中心とした超高速BB世帯カバー率を90%以上にする計画であるので、
  この国の方針に照らすと、あと4年で如何にしてFTTH相当の超高速サービスを展開するかを
  検討する時期になってきた。

  APPLIC(全国地域情報化推進協会)の情報通信インフラ委員会がこの9月から立ち上がり、
  2010年に向けてBB解消のロードマップ作成作業を開始したが、
  県や基礎自治体がいかに机上で解消計画を練ったとしても、
  「民間主導による整備」を基本方針にしている以上、
  民間事業者が採算性を確保してサービスを継続するための財源をどう確保するかが課題である。
  資金難の行政サイドにとっても、「口は出すが金は出さない」ではBB解消は進まない。

  APPLICの検討会で事例として、補助金を使って自治体が地域内に光ファイバーを張り巡らせ、
  地域情報化やCATV用に活用するとともに、その光ファイバを通信事業者にもIRU契約で貸し出し、
  それを使って通信事業者がFTTHサービスする、というスキームが紹介されている。

  民間通信事業者単独でのFTTH展開ができない地域で税金を使って敷設したファイバーを
  民間通信事業者に貸し出す、という構図そのものには反対しないが、
  そのスキームを使える通信事業者がNTTに集中しかねかいこと、
  IRUで借りるファイバー利用料設定如何ではNTTだけが恩恵に預かることになりかねないこと、
  環境によってはコスト高になりかねないPONシステムしか検討対象になりかねないこと、  
  など、このスキームの検証が必要である。

  いつのまにか「通信はNTT寡占」という昔の悪しき時代に逆戻りすることのなきよう、
  業界の健全化に目を光らせる必要がある。


4.逆転の発想

  まっしぐらに突き進んできた通信事業の方向性を一度立ち止まって総点検したい。
  3層や2層から1層やゼロ種への進出を狙うのか、7層サービスに回帰するのか充電の時期。

  親父の後を受け継いで、週末は自然豊かな信濃町にいることが多く、
  おかげで視野を広げる機会に恵まれ、人生の捉え方にも少し余裕が生まれた。

  同じことをするにしても気持ちの持ちようでこうも疲れが違うのかと再認識した。
  環境変化によって視野も変化し始め、次の目標設定にも幅が出てくるかもしれない。
  
ということで、今年の総括は前向きに終えることができた。
来年は種を蒔いた逆転の発想が、少しでも芽を出す年にしたいものである。

投稿者 佐藤 : 23:59 | コメント (0) | トラックバック

2006年12月05日

栄村の難視聴対策IP放送実証実験拡大

栄村IP放送の新しい番組選択メニュー画面

12月4日に、民主党代議士のMさんと一緒に雪の栄村に出かけてきた。
いよいよ国会で著作権法改正審議が始まり、その関係での現地調査、ということでご案内した次第。

村役場での説明のあと、既に積雪が10cmある原向という地区のおじいさん宅を訪問した。
これまでは、NHK、NHK教育、新潟放送の3局しか映らなかったが、新たにIP方式により
長野県内の4民放が視聴可能となった、と喜んでいただいた。

県内2民放が村役場の近くにサテライトを設置してあり、統計上はその2民放は視聴可能となっている可能性があるが、
実際には砂嵐の画面で、全く視聴に耐えない。これでは番組スポンサーも文句を言いたくなるだろう。

画質云々を理由にIP放送の再送信同意に応じない放送局関係者は、やはり一度現地に足を運ぶことをおすすめしたい。
企業論理以前に人間としての基本的な権利、生存権の尊さを感じとることでしょう。

もっとも、著作権法の改正(あるいは現行法でも解釈で十分有線放送と扱える)により、
番組の同時再送信であれば有線放送となり、CATVと同じ権利処理で再送信可能となる日は近い。
今更、難視聴対策のIP放送に反対する人はいないはずなので、アナログ放送のIP再送信問題はこれで決着。

2011年までは地デジとともにアナログ放送もサイマル放送義務により継続される。
栄村のIP放送画質を評価すると、電波・IPによる方式の差と同じ程度にソースの画質の差が画面に現れることが分かった。
逆に言うと、アナログ放送であっても放送局が画質を向上して放送してくれれば、IP方式による受信でも満足できる画質になる、ということであり、
放送局の皆さんには、せめてそういう意味での難視聴地域住民支援をお願いしたいものである。

そして、次は2011年7月対策である。
7月24日にアナログ放送を停波できると、自信を持って発言できる人はいないはず。
受像機(テレビ)の生産や買い替えすら怪しい状況であるが、デジタル難視聴世帯対策はそう簡単にはいくまい。
難視聴世帯を見捨てての見切り停止などできるはずはないが、対策を打つべき責任官庁が、最高の公式の審議の場で、「難視聴実態を掴んでいない」と発言とのこと。

実態把握に努め、対策を提示し、各地域が対策を講じられる予算措置を講ずるのが、責任官庁の役目かと。
「光ファイバーを張り巡らしてその上でのIPマルチキャスト方式によるデジタル放送再送信」というワンパターン政策では、
特定通信事業者が儲かるだけで、辺境住民は浮かばれない。

投稿者 佐藤 : 15:44 | コメント (0) | トラックバック