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2006年06月08日
県WAN提案内容
6月6日に県庁で選考委員の皆さんの前で県WANのプレゼンをしてきた。
100ページを45分で説明するのであるから、駆け足にならざるを得ない。
JANIS提案内容が他社とどう本質的に異なるのか、十分ご理解いただけたか、心配ではある。
お約束どおり、ここで、JANIS案のポイントを列挙してみたい。
1.提示された公共分野のアプリケーションニーズを満たすだけのミニマムの構成を組んで費用を最小化しないと
価格重視の入札では勝てないことは承知しているが、それでは公共専用ネットでしかなく、220万県民のためのネットワークとはならない。
JANISは今回提示以外の利用者にもブロードバンドサービスを提供可能なインフラとした。
それが長野県のためであり、我社のためでもあると信じて設備投資したが、入札で勝つか負けるか、結果は14日に出る。
2.既に全県下でMPLS-VPNサービスを提供しているが、今回は警察関係からレイヤー2以下でのサービス提供を、
という条件がついたため、レイヤー2サービスも可能な広域イーサネットシステムとした。
5年前から拠点数では全国でも最大規模のMPLSネットを稼動させているが、顧客ニーズがレイヤ2である以上、
そのサービスも用意しなければならない。
うわさによると、他社はレイヤ3機能を網サービスとして組み込んでいるとか、、
真偽のほどは分からないのでこれ以上のコメントは差し控えておきたい。
3.広域イーサネットシステム構築にあたっては、ループ回避、ARPトラフィック削減、レイヤー2でのトレース機能、
レイヤー2でのpingが可能となる、EoE機能を有する国内で最も稼動実績のある日立電線製のApresiaシリーズを選定した。
EoEあるいはMACinMAC機能をどう評価するか、審査員にその意義が伝わったかどうか。
4.駐在所などを除けば、ほとんどの拠点は複数ネットワークが存在することから、各拠点でネットワークを多重収容するために、
拡張VLANスイッチを末端まで設置し、そのスイッチまでを事業者管理とした。
これにより、ユーザは業務追加の都度回線や機器を追加する必要がないだけでなく、
ユーザ側LANでIEEE802.1QのVLAN運用をしたままそれらのVLAN間通信をすることもでき、
もちろんユーザ側LANで.1Q運用をしなくとも、拡張VLANスイッチでVLAN化してくれるのである。
通信事業者が局にて管理するスイッチを全ユーザ拠点まで張り出した、と考えていただきたい。
5.県内基幹回線は4プール構成とし、速度は需要に応じて増速できることから、当面は2ギガないし10ギガbpsとした。
いずれもNTT局間中継光ファイバを借りて、19局に高速コアスイッチを設置し、
障害発生時にはMMRPリングプロトコルにて瞬時に逆回りに切替わるようにした。
すでに半年以上JANISで稼動しているがこれまで障害は皆無である。
6.19局の基幹局から周辺の一般局までは、1ギガbpsで11ループの支線系回線を構築。
この支線系回線もNTT局間中継光ファイバを借りて、73の一般局にエッジスイッチを設置した。
支線系ループにもMMRPを適用し障害時に逆回りで基幹局コアスイッチに到達できるようにした。
当たり前といってしまえばそれまでであるが、地方では出し渋り気味のNTT局間ダークファイバを、パズルを解くようにして
なんとかループ回線を設計し、安全性を高めた次第。
7.局から拠点までのアクセス系回線は可能な限り光回線とした。
二重化を要求している拠点には、光+光のアクセス系二重化と、光+メタルのアクセス系二重化まで対応した。
回線が二重化してあっても収容局のスイッチが同一では故障時に両系とも切断となるので、
各アクセス系回線はMMRP接続した異なるスイッチに収容した。
そこまでやるの!という議論もあったが、二重化拠点は限りなく全経路、機器を別々に用意した。
8.不正アクセスやDDos攻撃対策として、IPSやIDSを要所に設置し、しかもその監視をラック社のJSOCに支援してもらうこととした。
最強のプロ集団の援軍を得て迅速な対応を取ることとした。
セキュリティイはどこまで対策してもキリがないが、生半可な対策では効果が出ないことも事実。
わが社だけではネット上の脅威を防ぐにはパワー不足と判断し、プロ中のプロに依頼した。
9.局から5km8km先の、Bフレッツなど10年先までサービスされないような山奥にある公的施設も今回の接続対象拠点となっている。
そこまで光を敷けば1000万や1500万円はかかる。
当面は最大利用可能速度が1メガbpsで最低でもその10%程度は確保、というのが県の仕様である。
さて、ここで迷った。
当面は1メガbpsや100Kbps程度しか利用しない拠点に対して、他社は「全て光化します」との回答らしいが、
数億円以上のお金をそこに費やして、誰がその費用を負担するのか冷静に考えて、 JANISは敢えて、
県民の税金からなる事業のコストを下げるべし、という判断から、「全ての光化」はあきらめ、
相応の速度しか要求しない一部拠点にはメタル回線も使うように設計した。
結果、入札価格は相応に下がったわけであるが、開札前なのでその効果をご理解いただけない審査員からは
「光化が基本方針のはず。NTTから借りればいいではないか」と攻めてきた。
DSLの老舗であるJANISとしては、光化至上主義を単純には受け入れられない田舎の事情を憂慮して
随分前からTTCにてSHDSLモデムの社会的価値を訴え続けてきたこともあり、
まだ利用価値のあるメタル回線を複数本束ねて高速化できるモデムを利用することとした。
しかし、ADSLは品質も速度も出ないのではないか、というごもっともな質問をいただいた。
そこで、弊社が使用する業務専用のSHDSLモデムの速度グラフを示してご説明申し上げた。
ちなみにTTCで速度競争論を展開していたDSL事業者はどこもこのSHDSLに興味を示さなかった。
光を敷けない田舎でしか利用価値がなく、大手DSL事業者は儲からない田舎は眼中にないので、当然ではある。
全国隈なくBB化とか、UIBN構想とか総務省も世界一を目指して頑張ってくれているが、
地域間格差を拡大させないために、田舎の通信事業者や利用者はもっともっと知恵と汗をかかなければならない。
自分たちの環境は自分たちで何とかしなければ置いてきぼりを食うのである。
光がメタルよりいいことは誰だってわかっている。
問題はその敷設コストをどう回収するかであり、だからNTTだってあれだけ大宣伝しているBフレッツを
儲からない田舎では一切エリア拡大しないのである。あと4年経っても3000/6000万世帯しかカバーできない。
入札で競争させれば、競争原理が働いて山奥まで光ファイバを敷くはずだ、という発注側の期待は理解できるが、
わが社は敢えて、その分を県民の税金負担軽減に転嫁させていただくこととした。
このことで審査委員の評価点数が下がり、受注できなかったとしたら、正義の負けであり、資本力の負けである。
最後に所感を。
今回の県WANはそもそも、県民のための情報基盤整備を、という平成13年召集の研究会提言を受けて
やっと実現するものである。その精神は、県内のあらゆ利用者が享受できるネットワーク整備であった。
今回の県WAN仕様は、そのうちの公共ニーズに絞った整備であり、県主導の公共ニーズを需要の下支えにして
各通信事業者が自社の通信基盤を整備し、その基盤を生かしで県民への通信サービス拡大を図って欲しい、
というのが、県側の期待である。
そのため、県WAN受注事業者は自社が受注したらどういう波及効果が出てくるかの提示を求められており、
その配点が非常に高いのである。
600箇所の公共拠点に光ファイバを敷設して公共機関への高速通信サービスを提供できる副産物としては、
なんといっても県内全市町村までの通信網整備が挙げられ、結果、全県、全局でレイヤ3サービスに加えて、
レイヤー2広域イーサネットサービスをご提供できることが我が社にとっての最大の県民への波及効果で
ある。
裏返すと、これだけでは、局から家庭、会社までのアクセス系光回線整備ができたわけではなく、県WANを受注した
からといって、一気にFTTHエリアが増えるわけではないのである。山の中まで光回線を敷設できる効果は
それほどないのである。そのことは6日のプレゼンの時に何度も正直に申しあげた。
しかし、県WANを受注できれば一気にFTTH化をすすめられる、と胸を張った事業者があったそうである。
そういう張ったりは我が長野県の選考委員の皆さんには通用しないと信じたいが、どうだろうか。
公共拠点は、単純平均すれば、1市町村には600÷80=8拠点であり、
そこへの光回線敷設のついでに集落全体への光回線敷設が副産物として出てくることはあり得ない。
駐在所に光ファイバを1本敷いたら村全体のFTTH化が進む、と言っているのと同じである。
そんなに簡単にFTTH化が進むのであれば、2010年を待たずに、我が長野県はあっという間に
全地域でBフレッツサービスが可能になるはずだ。
もしそれが事実なら、公共ネット先行による全県光化という信州方式の秘策が全国に広まるであろう。
そして、それば同時に、資本力のない地域通信事業者はどう頑張ってもNTTなど大手には勝てないという
全国の地域ISPに対する死刑宣告でもあるのである。
競争のない一社独占の社会がばら色かどうか、JANISが今回挑んでいる戦いは
これからの日本の通信サービス業界の縮図と言えなくもない。大袈裟すぎたか。。
知恵を出し汗もかいたが、圧倒的な資本力の差で撤退となるのはまことに不本意である。
地獄の沙汰も金次第、全ては14日の開札にかかっている。
勝ったら、JANISを褒めてやってください。
スライドは100ページありますが、公開できそうなものを選んでUPしました。
21枚のスライドpdf
投稿者 佐藤 : 2006年06月08日 00:00
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コメント
ISDNしか使えない大北の村でもNTTさんを交えて
「光芯サービス欲しい」という直訴をしてますが
「採算性合わないのでダメ!」と
いとも簡単に切られてしまいました。
先日、某村の会議に参加してそれを目の当たりにし
まだまだ田舎のFTTH化は程遠いと感じました。
お金をかけずに安定した通信ができれば
それが一番だと思います。
お財布の中身は県民や市民が出したものですから。
投稿者 beat23 : 2006年06月08日 21:33
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