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2006年06月22日
日経ニューメディア緊急セミナーで難視聴地域を代弁
6月19日、日経ニューメディア主催のセミナーがあり、通信業界と放送業界に協力を要請した。
動き出す地上デジタルのIP再送信、通信業界の本音に迫る!
実現に向けて放送技術、受信技術、著作権処理ルールの統一にどう取り組むか
NTT持株会社の出口担当部長からは、Bフレッツの自慢話とその上のIPV6マルチキャスト網で実現するIP放送の事例紹介があった。
三鷹市の一部の建物で、地上デジタル番組をIP放送した実験経過も説明された。
実験は、Air受信したMPEG2-TSのプロトコルスタックをそのままIPV6網に載せてSTBまで配信し、そこでMPEG2-TSを取り出してTVに映し出していた。
この実験そのものはそれなりに評価できるが、以下の理由から、地デジIP配信のゴールとは程遠い印象を受けた。
1.より圧縮効率の高いH.264技術を利用していない。
2.Air受信するMPEG-2からH.264への変換技術についてその実現可能性についてすら触れていない。
3.20Mbps以上の帯域を必要とするので、メタル回線ではサービスできない。
これらについてパネル討論でも改めて出口さんに質問したが、それらに関する回答は残念ながら得られなかった。
MPEG2-TSのAir信号を受けてH.264に変換するしか放送局の理解を得られない、という現状認識のようであるが、
H.264技術をより効果的に生かすためには、放送局でのHD-SDI信号(ハイビジョン映像信号)を、MPEG2-TS信号でなくH.264-TS信号に変換することを放送局に要求すべきなのである。
Air受信からではなく、放送局内でH.264信号をもらい、それを通信回線で配信することを検討すべきである。
その意味で、MPEG2-TSしか扱っていない三鷹の実験は、自慢話にはなるが、国民へのメリットはない。
次に、何をやるにも光回線しか頭にないことも問題である。
6000万/6000万世帯を2011年までには光化しますよ、期待してください、田舎まで責任を持ってファイバを敷きますよ、という構想なり計画がNTTから示されているのであれば、
光回線を前提としたIPマルチキャスト放送に照準を当てても文句を言う住民は少ないでしょう。
しかし、2010年までどんなに頑張っても国民の半分にあたる3000万世帯には光サービスできません、ということですから、難視聴に悩む住民には迷惑な話です。
難視聴住民対策をだしにして、都市部でBフレッツを売りまくりたい、と取られても仕方ないでしょう。
都市部で儲けてそれを原資に田舎にも光ファイバーを敷いてIP放送によって難視聴を解消しますよ、というのが2005年7月の歴史的な総務省答申の本質だと思っていたが、
NTTさんはその答申を無視して田舎を見捨てて儲かる都市部でしかIP放送をやらないようだ。民間会社だから仕方ないそうです。
放送の難視聴解消の責任は第一義的には放送局、とまで言いましたから、それが本音でしょう。
ということで、他社がやらないのなら、JANISが挑戦しましょう、ということで、
H.264でエンコードしてメタル回線で配信し、3万円程度のSTBでハイビジョン再送信できるシステムを放送局の協力で実験したいわけです。
すでに実験用にH.264エンコーダとSTBは調達できる目処がついている。
STBは6月8日、9日のフェアで多くの皆さんに7Mbps以下で動く画像をお見せしたとおり。
この理念に賛同してくれる放送局が必ずや協力を申し出てくれることを願っています。
サテライトを建てるお金は出せなくても、HD-SDI信号なら出せるのではないでしょうか。
セミナーは二番手として、KDDI研究所の小池さんからH.264に関して興味深い技術的解説をいただいた。その話を聞くほどに、MPEG2-TSからH.264へのエンコードは益々非現実的、との印象を受けた次第。
セミナー三番手は小職の栄村事例経過と今後の夢を話させてもらいました。(資料はこのblogの右列にあり)
最後のパネルでは改めて以下の意見を述べた。
1.文化審議会報告書案は一歩前進。欲をかいたらキリがない。少なくとも難視聴対策としてのIPマルチキャストは有線放送と扱えるので、歓迎。
2.誰のためのIPマルチキャスト放送化かを考えて欲しい。
県域放送を前提とした場合は、電波が届く地域に敢えてIPマルチキャスト放送を提供する社会的必要性は少ない。
IPマルチキャスト方式が社会的意味を持つのは、県域放送という枠をなくす時。
IPマルチキャスト方式は、キー局の番組を全国各地で見ることができる業界スキームができた時の技術的実現手段。
逆に言うと、そのビッグバンが怖いので、放送局はIPマルチキャストを認めようとしないのが本音であり、
難視聴解消対策用のIPマルチキャスト放送については拒否できないはず。欲をかかずに正攻法でいきましょう。
一方、通信事業者側は、難視聴解消を口実とした、トリプルプレイ売り込み手段になっていないか。
儲からない田舎でFTTHによる難視聴解消をするために、難視聴ではない都市部でIP放送をして利益を出す、民間企業論理を否定はしないが、
目的であった田舎の難視聴解消をIP放送で責任を持ってサービスすることを担保すべきであり、田舎を放置して都市部でのみIP放送サービスするのは健全ではない。モラル欠如である。
通信側がそこまで協力姿勢を示せば、放送局側もIP放送に反対できないはずで、放送局内でのH.264エンコードに協力せざるを得なくなる。
それすらも拒否するようだと、放送業界は外からビッグバンせざるを得なくなるのはないか。
結論:全ては視聴者、国民の利益を第一に考えて、業界エゴはお互いに控えるべきである。
投稿者 佐藤 : 2006年06月22日 16:45
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コメント
HD画像をメタル回線で配信するにはいくつもの工夫がいるが、一つ一つ前進させていくしかない。
1.放送局内でのSDI信号からH.264へのエンコード
->我々の理念に賛同してもらえそうな動きが出てきた。
2.H.264をデコードするSTB
->実用レベルになっている。
3.メタル回線での下り速度改善
->下り100Mbps仕様のVDSLの実用試験開始間近
4.メタル回線区間を短縮するためのリモート局設置
->光中継 ないしは 無線リピータの実用化
とにかく、試験しないことには良いも悪いも判断できないので、各方面のご協力をいただいて、秋には実験を開始したいものである。
投稿者 佐藤千明 : 2006年07月04日 23:07