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2006年02月10日

FTTRサービスの可能性

日経コミュニケーション2月1日号に、市嶋記者の大特集記事がある。
題して、「光とDSLのハイブリッド 「FTTR」が夏にも開始」  ブロードバンドの新たな選択肢が登場」

TTCの場でSBBとJANISが激論を交わし、他の事業者はそれを静観とある。
ここでTTC論争を再現するつもりはないが、このサービスは、いろいろな意味で重要な要素を含んでいるので、少し整理してみたい。

1.FTTRサービスの狙い
  Bフレッツが莫大な広告宣伝費とエリア集中作戦で、ハイエンドユーザを中心に、普及しつつある。
  メタル線を使ったADSLは下り10数メガ、上り1メガで頭打ちになっており、光ファイバによる上下数十メサービスが今後徐々にシェアを大きくしていくのは、自明である。
  しかし、ここに問題が2つある。
  ①Bフレッツのサービスエリア拡大には時間がかかり、NTT自身の2010年の到達目標(構想か計画かは不明)ですら、
   3000万/6000万人と過半数に過ぎず、都市部以外での高速サービスの目途がたっていない。
  ②BフレッツはNTTのサービス商品であり、NTTのみが高速インフラを提供する事業者になってしまい、NTTの寡占化が進むだけである。
  NTT分割論は過去の物語になりつつあり、残念である。
  特に最近、NTTは垂直統合サービスを主張しており、NTTに「高速インフラ+上位サービス」をセットで提供されたら、
  BフレッツやフレッツADSLを足回りに使っている多くのISPは、下も上も奪われていくであろう。
  自ら回線を敷設せずに地域IP網に依存してきたISPにとっても、Bフレッツの寡占化は将来自分の首を絞める危険があることを認識しなければならない。

  そこで、全国隈なく敷設されているメタル回線をうまく使って、NTT以外の事業者でも数十メガbpsの高速サービスを提供できないか、という発想が出てきた。(他にも無線という選択肢もあるが)
  メタル線で高速サービスを提供するには、高周波数帯域まで使うVDSLということになるが、
  距離が長くなると減衰が激しくてADSL並みになってしまうことから、
  メタル線区間を短くするために局置きのDSLAMを街中に出して、RemoteTerminaLと称する場所に設置したい、ということとなる。
  この方式は、既にお隣の韓国で普及している形態であり、総論としてはひとつの選択肢ではある。

2.では、何が問題なのか。
2-1 既存ADSLユーザへの干渉問題
  既存ADSLは、局から長い距離を経て減衰して自宅のADSLモデムに到達している。
  一方、FTTRのVDSLは、RTから短い距離で自宅のVDSLモデムに到達する。
  よって、距離の異なる回線間での干渉というこれまでの干渉モデルとは異なる計算モデルが必要となる。
  そのため、TTCには新たな計算モデルが提案され、ほぼ合意に近づきつつある。
  が、実証実験に裏付けられた信頼できる計算モデルなのか、最終結論を出せるまでに完成したモデルなのかどうか、TTCでも意見が割れている。
  ADSLへの影響がどこまであるのか、その影響をどこまで許容するのか、影響回避のためにどんな対策が必要なのか、
  特例処置をどこまで認めるか、など議論する項目は沢山ある。
  TTCという総務省管轄の半ば公的な技術協議機関は、そこの技術論を十二分にすべきである。

  ADSLに影響を与えてVDSLの高速性を生かしきれないのなら、いっそのこと全員をVDSLに切り替えてしまうばいいではないか、
  という極論もないではないが、それをやるには膨大なコストがかかるので、非現実的である。
  やはり、既存ADSLユーザを守りながら、新規VDSLサービスを生かす方策を探らなければいけない。

2-2 事業として安定的なサービスを提供できるビジネスモデルなのか。
  仮に、ADSLとの干渉問題が一定の整理をつけられたとしても以下の課題整理は必要である。

  ① RTの場所選定方法、DSLAMなどの機器収容方法、電源確保方法
  ② ユーザ毎の線路情報をNTTに開示してもらわないと、収容RTを決定できないが、公開可能か
  ③ VDSL区間を短くするためにはRTを多くする設置する必要があるが、そうするとコストアップとなる
     コストセーブしてRTを減らせば、VDSL区間の距離が伸びて、高速性を損ないかねない
  ④ 複数のVDSLサービス提供事業者でRT装備を共有できるかどうか
  ⑤ そもそも費用面で、採算がとれる事業なのかどうか
  ⑥ 高速なラストマイル手段として、その他の通信サービスと比べて勝てる商品にできるかどうか

3.再び、TTC問題
  干渉モデルをより良いものにして、既存ADSLサービスを低下させないために以下の議論は必要である。

  ①2.2HMzまで使用するダブルスペクトルをクラスAに分類して保護しているのであれば、
   干渉計算は2.2HMzまで行うのが筋のはず。
  ②しかし、2.2MHzまでの計算ではVDSLからADSLへの干渉が大きくなって、VDSLのサービスエリアが制限されてしまうので、
   干渉計算は従来どおり1.1MHzまでにしておこう、という案もあり、どうもこっちが優勢とか。
  ③そこまでAboutにするのであれば、いっその事ダブルスペクトルはクラスBにでもしなくては話が合いませんね。
   2.2MHzまでの計算の方がより正確になるのに、敢えて1.1MHzまでの計算に止めてダブルスペクトルへの影響を
   計算上回避するのであれば、ダブルスペクトルは保護される方式とは言えなくなります。
   そうなるとクワッドも同様であり、それはTTC第3版の大幅改定、第4版作成という大仕事になってくる。
  ④逆に、VDSLで使う帯域を既存ADSLと干渉しないように高周波側に絞り、VDSLでは1.1MHz未満を使わない案もある。
   これは安全だが、下りで一番おいしい帯域の8Mbpsを放棄することになり、VDSLの速度低下になりかねない。

ということで、日経コミュニケーション誌が煽る?ほどには、FTTRサービスはばら色ではない。
しかし、ADSL事業者としてはこのままBフレッツ攻勢を静観しているわけにはいかない。

総論賛成、各論慎重というジレンマを抱えながら、数年先の事業モデルを思案中。

  
  

投稿者 佐藤 : 2006年02月10日 15:08

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コメント

ソフトバンクBBやイー・アクセスなど,光と高速DSLのハイブリッド・サービスを実験中 との情報が ITProに出た。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060213/229056/

「既存のDSLシステムの干渉の度合いや設置上の問題点などを検討している」らしい。

RT設置のVDSLが、既存の局設置ADSLにどのような干渉を与えるかについては、JANISも自社内の実回線で様々な実験をしており、その結果に基づいてTTCに寄書をいくつも出しているが、まだまだモデルを固めるような実験まではできていないのが、実情である。

JANIS以外の会社も実回線を使って様々な実験を行い、より精度の高いモデルを提案してくることに期待したい。

投稿者 佐藤 : 2006年02月13日 19:00

当市の一部にNTTのRT局があります。NTT西日本は局舎からこのRT局まで光が来ているのでその地域は銅線を使うADSLが出来ませんといっています。このようなNTTの局舎(RT)へFTTRということで光の先へDSLAMを設置していくことが出来れば中山間部にあるNTTのRT局はすぐにADSLが開始できるのにと思いました。

投稿者 とっと思いました : 2006年02月17日 13:13

御意。
そういう地域では非干渉となるADSLサービスが存在しませんから、FTTR+VDSLサービス開始の課題は採算性だけで、接続約款変更に敢えて反対する人はいないはずです。

「電話回線が光収容されているのでADSLサービス提供不可」な地域住民へのBBサービスとして、FTTR+VDSLが有効なことは確かです。

しかし、その救済効果を隠れ蓑にして、既存ADSLへの干渉問題を棚上げするのはいかがなものか、ということです。


投稿者 佐藤 : 2006年02月17日 19:44

今日のNHKnewsで富山県がBBの普及率が上位だという。そんな馬鹿な。それは金持ちであればの普及率であって、市内でありながら、光収容局がいくつもあって、ADSLが引けない地域がたくさん存在する。だから仕方なく毎月8000円の光にしている家庭が多い。私の団地では3-40パーセントとおそらく日本一の普及だ。金持ちも多いのだろう。しかし年金生活者にとってNHK受信料と新聞を節約しなければ、光ファイバーは引けない。

投稿者 難民 : 2006年06月28日 15:47

http://www.rbbtoday.com/news/20030320/10993.html

古い記事ですが、これを実現するほうが光収容の問題が解決し、加入者負担もそんなに入らないような気がするんですが

投稿者 morichan-net : 2006年09月23日 00:36

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