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2006年02月23日
落としどころは県域制度を担保してのIPM放送同意か
22日にICPF主催の「通信と放送の融合」第2回シンポジウムが日経ホールで開催されたので、聴講してきた。
時の人である松原座長の講演では、
1. 2010年度までに100メガクラスのBBを全国で整備するIT新改革戦略があるが、以下に留意する。
いつでも、どこでも、だれでも、何でも使える、デジタルディバイドのないインフラの整備
民間主導、公正競争、光ファイバだけでなく無線なども考慮した技術中立性確保
2. SBB社が提案している光ファイバー建設公団は、それなりに評価できるが、以下の理由で反対する。
100MクラスのBB実現技術は光ファイバだけではなく、他の技術もあり得る
1社独占になり、効率性などの問題がある
SBB社の「光1回線を月額690円」で提供可能との試算値は、別会社に試算を依頼したら
800円から1,000円になった。SBB社の試算もそれなりの値ではある
3. 一部新聞が報道した「NTT解体論」は誤解がある。
大胆な改革が必要だが,NTTの解体を目指すものではない
持ち株会社、東西、ドコモ,コミュニケーションズをそれぞれ個別の会社にすればいいという組織分離論ではない
県内・県間分離、固定・無線分離などの現行組織がインターネット、FMCの時代に合わないので、改革したい
4. 放送の県域制度を廃止したい
アナログ on VHF(県域) の時代は終わり
デジタル on 地上UHF(県域) + CS(全国) + CATV(全国可能) + IP放送 (全国可能)
の時代となって、 IP放送であれば全国どこででも見られるのに、
放送をわざわざ県域に閉じる必要性はない
続いて講演した情報セキュリティ大学院大学の林紘一郎副学長は
5. ビジネスモデル論に基づいて、NHKの再編案とNTTの再編案を提案
光ファイバ建設公団には反対
NTTは、支配的事業者となるインフラ層を担う部門と、その上にコンテンツ層を担う部門に分離し、
その他の事業者は非支配的事業者として、インフラ層もコンテンツ層もサービス可能とする
その後、各界のパネラーが通信と放送の調和に関して討論。以下にいくつか列挙。
□ あらゆるコンテンツをIP基盤上に載せることができる時代となった
■ 放送コンテンツを敢えてIP基盤上に載せる必然性があるのか。(御意)
□ 通信と放送の融合は、お互いが相手のビジネスエリアを侵食するのではなく、ともに拡大することが大切
□ NHKは、50万本とも言われているアーカイブを公開せよ。その際、現行の電波だけでは不足するので、IP網も使うべし
■ IP放送事業者は、放送コンテンツを「ただ乗り」するのでなく、自らコンテンツ開拓・製作をすべし。(御意)
■ 現行制度では放送に公共性がある(求められている?)ので、放送でのコンテンツの2次利用に関しては事前許諾不要となっている
■ しかし、IP放送には公共性はない(?)ので、事前許諾不要にする必要はない。 ?????
□ 融合は、伝送路、端末、コンテンツ・サービス毎に整理すべきである
□ 伝送路の融合に関しては、技術的、事業的に合理性があれば、受け入れるべきである。(ぼぼ全員合意というか、大勢)
最後に個人的感想を。
1.IPマルチキャストによる番組配信を著作権上の有線放送として扱う、という外堀は完全に埋まった感あり。
つまり、伝送路の融合は、総務省、文化庁、総理府としてはほぼ方針が固まり、放送業界も著作権者も、受け入れざるを得ない状況になりつつある。
これ以上反対すると、反対のための反対、自己保身のための反対となり、国民を敵に回しかねない。
2.サービスの融合は、各業界の生き残りに直結するので、時間がかかりそう。
IPM放送により技術的に全国放送化が実現できた時のローカル局の存続意義は何か。
県域制を残して現行のローカル局・キー局体制を維持するのかどうか。
もっと強力なビッグバンとして、誰もが放送事業に参入できるスキームを導入するのかどうか。
ドミナント規制のかかったNTTが垂直統合化でコンテンツ分野に参入することをどこまで許すのか。
3.住民の視点に立った難視聴解消は最優先課題である。
FTTHユーザ獲得手段としてのIPM放送サービスは、提供側の論理でしかない。
県域免許制度をいいことに、難視聴解消に向けて「真剣」な努力をして来なかった放送局に公共性を主張する権利があるのか。
業態や形態のあり方は、マーケット即ちそのサービスを有償で受ける視聴者が決定権をもつべきである。
視聴者はローカル局に何を期待しているか。
ローカル企業のコマーシャル?ローカル番組?キー局番組?
ということで、様々な議論がこれからも継続していくでしょうが、
視聴者にも受け入れられる当面の落としどころは、「県域制度を担保してのIPM放送同意」あたりか。
投稿者 佐藤 : 00:49 | コメント (0) | トラックバック
2006年02月18日
県予算案に高速情報通信ネットワーク整備事業が再提案
17日に県から平成18年度当初予算案の概要が発表された。
昨年12月県議会で否決された「県WAN整備」事業が再度、以下の通り盛り込まれている。
(http://www.pref.nagano.jp/keiei/zaiseit/yosan/tousho/h18/katei.pdf の企画局案件)
事業名:高速情報通信ネットワーク整備事業費(信州モデル創造枠予算)
予算額:80万9千円、債務負担行為(24億3190万円)
事業内容:ITの利活用により県民サービスの向上を図るとともに、事務処理の迅速化・効率化を進めるための高速情報ネットワークを整備し、平成19年6月より約5年間運用する。
80万円は、事業内容の妥当性確認と発注先業者選定のための選定委員会費用であり、有識者などによる公開審査を経て決定される通信事業者が平成19年6月までに県内数百箇所を高速で結ぶネットワークを構築し、およそ5年間で25億円弱の利用料でサービス提供する、というスキーム。
昨年12月議会に同じ提案をしたところ、「ネットワーク事業そのものは反対ではないが、事業内容の精査ができていないこと(議会への説明不足とのご指摘)と、選定委員会の構成に疑念がある」というような判断で否決されてしまった経過がある。
議会内には、「県自ら構築したら100億円くらいかかるところを25億円と格安の費用で高速情報通信網を活用できそうなので、事業化それ自体には反対しない」という声もあったらしいが、そのような回線費用節減による県民益効果が議会全体に十分ご理解頂けないまま、12月議会では継続審議となってしまった。
業者選定経過をガラス張りにすべき、ということから選定委員会を作って選定経過を公開するわけで、
選定委員会には議会側が推薦した人、あるいは技術的に審査能力をお持ちの議員さんにも直接参加してもらうというのは、どうだろうか。皆が納得してスタートした方がいいではないか。
数年前に全国の過半数の県で展開された「県内情報ハイウェイ構想」は、ほとんどが残念な結果になっていると聞く。
NTTや電力系大手通信事業者に丸投げして高い料金を払い続けていたり、
幹線しか整備せず、支線系やアクセス系回線がないために幹線を有効活用できていなかったり、
民間開放と言いながらも、民間が利用するには品質面やサービス面で環境整備が不十分であったり、
いろいろな原因が考えられるが、
アクセス系まで含めたネットワークを安価に構築するには、「ひとひねり」必要である。
今回の県のネットワーク構想には、そういう工夫がいくつも散りばめられており、これが実現すれば他県の模範となるようなネットワークになるに違いない。
セキュリティとクオリティを確保しながら、あらゆる業務を多重化し、エンドtoエンド通信を、高速で、安価に提供するサービスであり、その実現に向かって努力していきたい。
投稿者 佐藤 : 17:13 | コメント (0) | トラックバック
2006年02月10日
難視聴問題に対する県内ローカル局の回答
テレビ難視聴地域に対する考えについて県内民間放送事業者から回答が出て、県のホームページに掲載された。
http://www.pref.nagano.jp/kikaku/jousei/broadcast/eliminate_areas.htm
「各局からの回答は、国でも情報通信審議会や知的財産戦略本部においてIPマルチキャストの活用を進めようとしている状況にかかわらず、現状をやむなしとするものとなっており、残念ながら再送信の同意はいただけませんでした。
長野県は、引き続き難視聴解消のための具体的な対応を求めてまいります。」という県のコメントがついている。
4局とも示し合わせたような回答だった。
国(総務省、総理府など)の大きな流れを感じつつも、IPマルチキャストは放送として確定したわけではないので、確定するまでは様子をみたい、ということ。
「栄村とは今後も協議したい」との有難い表明が4社とも最後に「おまけ」で付いている。
地上デジタル放送用のサテライト局設置計画などで支援してくれるのだろうか、
あるいは、数十キロある村中にFTTHの光ファイバを敷設する費用負担をしてくれるのだろうか、
難視聴に苦しむ村民のために、IPマルチキャスト実証実験を全村に展開することを認めてくれるのだろうか。
民間放送事業者各社の誠意に期待したい。
投稿者 佐藤 : 22:08 | コメント (2) | トラックバック
FTTRサービスの可能性
日経コミュニケーション2月1日号に、市嶋記者の大特集記事がある。
題して、「光とDSLのハイブリッド 「FTTR」が夏にも開始」 ブロードバンドの新たな選択肢が登場」
TTCの場でSBBとJANISが激論を交わし、他の事業者はそれを静観とある。
ここでTTC論争を再現するつもりはないが、このサービスは、いろいろな意味で重要な要素を含んでいるので、少し整理してみたい。
1.FTTRサービスの狙い
Bフレッツが莫大な広告宣伝費とエリア集中作戦で、ハイエンドユーザを中心に、普及しつつある。
メタル線を使ったADSLは下り10数メガ、上り1メガで頭打ちになっており、光ファイバによる上下数十メサービスが今後徐々にシェアを大きくしていくのは、自明である。
しかし、ここに問題が2つある。
①Bフレッツのサービスエリア拡大には時間がかかり、NTT自身の2010年の到達目標(構想か計画かは不明)ですら、
3000万/6000万人と過半数に過ぎず、都市部以外での高速サービスの目途がたっていない。
②BフレッツはNTTのサービス商品であり、NTTのみが高速インフラを提供する事業者になってしまい、NTTの寡占化が進むだけである。
NTT分割論は過去の物語になりつつあり、残念である。
特に最近、NTTは垂直統合サービスを主張しており、NTTに「高速インフラ+上位サービス」をセットで提供されたら、
BフレッツやフレッツADSLを足回りに使っている多くのISPは、下も上も奪われていくであろう。
自ら回線を敷設せずに地域IP網に依存してきたISPにとっても、Bフレッツの寡占化は将来自分の首を絞める危険があることを認識しなければならない。
そこで、全国隈なく敷設されているメタル回線をうまく使って、NTT以外の事業者でも数十メガbpsの高速サービスを提供できないか、という発想が出てきた。(他にも無線という選択肢もあるが)
メタル線で高速サービスを提供するには、高周波数帯域まで使うVDSLということになるが、
距離が長くなると減衰が激しくてADSL並みになってしまうことから、
メタル線区間を短くするために局置きのDSLAMを街中に出して、RemoteTerminaLと称する場所に設置したい、ということとなる。
この方式は、既にお隣の韓国で普及している形態であり、総論としてはひとつの選択肢ではある。
2.では、何が問題なのか。
2-1 既存ADSLユーザへの干渉問題
既存ADSLは、局から長い距離を経て減衰して自宅のADSLモデムに到達している。
一方、FTTRのVDSLは、RTから短い距離で自宅のVDSLモデムに到達する。
よって、距離の異なる回線間での干渉というこれまでの干渉モデルとは異なる計算モデルが必要となる。
そのため、TTCには新たな計算モデルが提案され、ほぼ合意に近づきつつある。
が、実証実験に裏付けられた信頼できる計算モデルなのか、最終結論を出せるまでに完成したモデルなのかどうか、TTCでも意見が割れている。
ADSLへの影響がどこまであるのか、その影響をどこまで許容するのか、影響回避のためにどんな対策が必要なのか、
特例処置をどこまで認めるか、など議論する項目は沢山ある。
TTCという総務省管轄の半ば公的な技術協議機関は、そこの技術論を十二分にすべきである。
ADSLに影響を与えてVDSLの高速性を生かしきれないのなら、いっそのこと全員をVDSLに切り替えてしまうばいいではないか、
という極論もないではないが、それをやるには膨大なコストがかかるので、非現実的である。
やはり、既存ADSLユーザを守りながら、新規VDSLサービスを生かす方策を探らなければいけない。
2-2 事業として安定的なサービスを提供できるビジネスモデルなのか。
仮に、ADSLとの干渉問題が一定の整理をつけられたとしても以下の課題整理は必要である。
① RTの場所選定方法、DSLAMなどの機器収容方法、電源確保方法
② ユーザ毎の線路情報をNTTに開示してもらわないと、収容RTを決定できないが、公開可能か
③ VDSL区間を短くするためにはRTを多くする設置する必要があるが、そうするとコストアップとなる
コストセーブしてRTを減らせば、VDSL区間の距離が伸びて、高速性を損ないかねない
④ 複数のVDSLサービス提供事業者でRT装備を共有できるかどうか
⑤ そもそも費用面で、採算がとれる事業なのかどうか
⑥ 高速なラストマイル手段として、その他の通信サービスと比べて勝てる商品にできるかどうか
3.再び、TTC問題
干渉モデルをより良いものにして、既存ADSLサービスを低下させないために以下の議論は必要である。
①2.2HMzまで使用するダブルスペクトルをクラスAに分類して保護しているのであれば、
干渉計算は2.2HMzまで行うのが筋のはず。
②しかし、2.2MHzまでの計算ではVDSLからADSLへの干渉が大きくなって、VDSLのサービスエリアが制限されてしまうので、
干渉計算は従来どおり1.1MHzまでにしておこう、という案もあり、どうもこっちが優勢とか。
③そこまでAboutにするのであれば、いっその事ダブルスペクトルはクラスBにでもしなくては話が合いませんね。
2.2MHzまでの計算の方がより正確になるのに、敢えて1.1MHzまでの計算に止めてダブルスペクトルへの影響を
計算上回避するのであれば、ダブルスペクトルは保護される方式とは言えなくなります。
そうなるとクワッドも同様であり、それはTTC第3版の大幅改定、第4版作成という大仕事になってくる。
④逆に、VDSLで使う帯域を既存ADSLと干渉しないように高周波側に絞り、VDSLでは1.1MHz未満を使わない案もある。
これは安全だが、下りで一番おいしい帯域の8Mbpsを放棄することになり、VDSLの速度低下になりかねない。
ということで、日経コミュニケーション誌が煽る?ほどには、FTTRサービスはばら色ではない。
しかし、ADSL事業者としてはこのままBフレッツ攻勢を静観しているわけにはいかない。
総論賛成、各論慎重というジレンマを抱えながら、数年先の事業モデルを思案中。