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2005年07月21日

FTTHにしか認めない地上デジタル放送再送信

地上デジタル放送の難視聴対策として、IP放送を認める方針を情報通信審議会が正式決定するとの報道。
またしても、IP放送化に一歩前進である。
が、ADSLは認めない、というおまけがついていることには到底納得できない。

問題を整理してみよう。
1.最大の問題は、総務省による、国民が望んでいない地上デジタル放送のごり押し。
   最近の「つまらないバラエティ番組」をデジタル化して、誰にその費用を負担させようとしているのか。
   電話回線での上り速度は精々56Kbpsだが、そんな速度で何が双方向なのか。
   高画質でなければ2ch配信できるとのこと、でもきっと1chは四六時中テレビショッピングになる予感。
   そうまでして20万円も30万円もするテレビに買い換えるメリットが国民にあるのか。
   テレビの視聴者数はデジタル化で増えるわけではなく、むしろch数が増えれば、1chあたりの視聴者数は減るはず。
   画質が向上しても、スポンサーはコマーシャル料金値上げには応じないでしょうから、民放さんもデジタル化はお荷物なはず。(じゃあ、民間さんも反対の声を出すべきだったが、お上には逆らえなかった模様)

2.次に、国は、難視聴エリア対策を後回しにしていること。
   難視聴解消は、国の責任なのか、独占的護送船団業界であるTV局の責任なのか、
   あるいは、そういう地域で生活している住民の自己責任なのか。
   当然、ごり押ししている国の責任である。
   じゃあ、鉄塔建てる費用、CATV敷設費用などを国はどこまで責任持って補助してくれるのか。
   いや、国が責任持つ、といっても所詮は血税。総務省のお役人さんの給料じゃない。
   地元民放さんは、アナログですら鉄塔建てずに難視聴を放置してきたことから、
   民間企業論理を振りかざして、「採算が採れないからデジタル難視聴解消義務はない、
   デジタル放送を見たかったら国から補助金もらってCATV敷きなさいよ」と他人事。その前に、自らの財務状況の公開が先ではないか。

3.難視聴対策としてのIP放送を認めること自体には賛成するが、なぜにFTTHのみか。
   鉄塔も建てられない田舎の隅々までFTTH化する費用は誰が負担するのか。
   NTTの計画でも、2010年までに全国世帯の半分の3000万世帯しかFTTH化できないとのこと。
   それすらも、今のサービスエリア選別方針が続く限りは都市部がほとんどで、田舎は取り残される。
   FTTHインターネットは田舎ではサービスされないので、それを活用したIP放送は現実的ではない。
   NTTは一体どこで光IPによる難視聴対策再送信ビジネスをやるつもりなのか。
   =>どうも、あちこちで、電力系とNTTでFTTH競争が繰り広げられるなか、
      NTTのFTTHではIP放送が法的にできないことからその緩和策として
      今回のIP放送化が表舞台に出てきた雰囲気もある。
      (電力系事業者の光なら放送サービスしても違法ではない)
      従って、NTT的に言うと、FTTH事業が採算にのる地域でしか
      地デジのIP放送サービスが提供されない可能性がある。

   ==>否、もっと泥臭い背景がありそうだ。
      答申書によると、なんと「難視聴対策だけだと通信事業者にFTTH化の
      インセンティブが働かないから、全国どこででもFTTH上でIP放送を認めたい」とのこと。
      実に良く、今回の答申書の本音が表れている。
      難視聴対策という大義をかざしても、本音は、非難視聴エリアである都市部で
      IP放送サービスを目玉にFTTH加入者を増やしたい某国策通信会社と、
      それを監督指導する某中央官庁の野望である。
      これは通信事業者の放送事業への参入であり、難視聴対策なんていう「きれいごと」ではない。

      
      放送局は、コンテンツ制作という本業に専念すべきということであり、それには賛成である。
      問題は、将来の通信事業が過去のように、某大手国策会社によって独占されることである。
      光ファイバを敷設する体力のある通信事業者だけが生き残り、
      その他全ての通信事業者は撤退を余儀なくさせられる、ということであり、
      それが、結果として消費者にプラスとなるかマイナスとなるかは自明。
      

じゃあ、光を持つ通信事業者の独占サービスを阻止するために、どうするのがいいのか。

まずは、北海道限定で検討されている、地上デジタル放送の衛星送信を全国で可能にすること。
これだと、ローカル局の存在価値がなくなるので、放送局は反対するだろうが、
極論すれば、役目を終えた機構は退場していただくか時代に合わせて自己改革していくのが、国民のためかと。

衛星では県内ローカル番組を放送しにくいという問題に関しては、全ローカル局が衛星を使う必要はない。
ニュース程度であれば、現在のアナログ放送でも十分であり、既存CATV利用で問題なし。
あるいは、2Mbps程度であれば、自前のサーバを使ったIP方式での番組配信は十分実用的である。
県内ニュースをみるだけなら、ADSL+放送局自前の配信サーバで十分である。
要は、既存の配送スキームに固執せず、あらゆるメディアを活用することである。


次に、FTTHに拘らずにADSLを活用することである。
答申書にはFTTH等とあり微妙な表現ではあるが、文脈全体からするとADSLを認める雰囲気は微塵もない。
ADSLを認めてしまうとライバル会社のBBケーブルも参入できてしまうのである。
というより、現行のATMベースのフレッツADSLではIPマルチキャストはやりにくいようだ。
しかし、FTTHという土俵の上なら光資産をもつ会社が圧倒的に有利である。
そこには、国民サービス向上などという観念は存在しない。

光でなくとも、ADSL回線でも2Mや4Mbpsは出る。
画像の品質うんぬんということが光回線しか認めない理由であるが、
これから始まる各民放さんの有料IP番組配信で使う帯域はどのくらいなのか。
BBケーブルは2Mと4MでADSLで配信しているし、JANISが栄村でやっている
地上アナログ放送の再送信実験では1.3Mで、ADSL回線を使っている。

高画質のHDは無理としても、4MbpsのSDであれば、ADSLで配信可能であり、
圧縮技術の進展によっては、2Mbps程度でもSD品質を送信できる時代も来る可能性はある。タイムリミットまでまだ6年もあるではないか。
究極的には、4Mbps程度でH.264でHDTVも送信できるかもしれないのである。

お金を払う利用者が自分の価値観で画質と料金を選択できるようにすべきであり、
FTTH化に莫大な費用をかけられない地域住民が、既存のADSL回線を使って、
そこそこの画質でも納得するのであれば、それを認めるべきであろう。

某大手通信事業者の光化促進と放送事業参入障壁撤廃、などという
国民不在の政策決定には ちょっと待った!と言いたい。

IP方式による再送信化自体には賛成である。
しかし、光しか認めないというのは難視聴地域の実態を無視した施策である。

FTTH費用にいくらかかるかをご承知の上での、FTTH限定IP放送認可とは思えない。
落ち目の巨人とはいえ、野球中継が観れると観れないでは雲泥の差。
総務省の皆さん、一度は栄村に足を運んで、現実を見るがいい。
  

投稿者 佐藤 : 2005年07月21日 19:24

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