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2005年05月30日

住民基本台帳ネットに画期的な違憲判決

金沢地裁が画期的な判決を出した。
プライバシー権、侵害の程度、目的の正当性、ネットの必要性、憲法適合性、差し止めの可否、
などの判決要旨を新聞で読んだが、現実的な判決であると歓迎したい。

目的の正当性、ネットの必要性:
 国は、住民の便益と行政事務の効率化を主張したようだが、
 今の住基ネットはほとんどの住民にとって、メリットがないことは自明である。
 プライバシー権を侵害されてもいいから住基ネットを使いたい住民などいるのでしょうか。
 行政事務の効率化は、電子行政システムの基盤となる公的個人認証システムの構築方法がポイントとなるが、
 実は、住基ネットと公的個人認証システムは別次元の話なのである。
 個人認証制度がなければ電子社会が実現せず、電子政府、電子自治体も実現しないのは確かであるが、
 以下の県審議会報告書にも記載したとおり、公的個人認証システム構築にあたって住基ネット利用は選択肢の一つでしかなく、必要条件ではないのである。
 住基ネットは電子政府や電子自治体構築の基盤ではないのである。
 住民票の広域交付という謳い文句が破綻した段階で、公的個人認証システム基盤という意義を持ち出してきたわけであるが、それも実は破綻している、ということである。
 今回の判決でも指摘されていないように、そこをご理解いただいている方は少ない。
http://www.pref.nagano.jp/soumu/shichoson/jyukisys/singikai/hokoku4-3sat.pdf

 更には、長野県の試算によれば、
 現時点で総務省が唱える利活用のための費用対効果をみると、
 平成29年までで、費用累計が97.9億円で、効果累計が82.4億円となり、15.5億円の赤字となり、行政事務の効率化にはならないということである。

-----------産経新聞にあるコメントから-----------------------------------------
◆ネット時代に適切な判断
 ジャーナリスト、桜井よしこさんの話「個人情報が危険にさらされているネット時代の中で、極めて適切な判断。情報管理体制には格差があり、ずさんな自治体から情報が漏れることも考えられる。今回の判決で住基ネットから離脱する自治体が増えることも予想され、情報漏洩で受けた被害に対する損害賠償が起こされていくことになるだろう」

◆「得るもの」小さくなる
 前川徹・早大国際情報通信研究センター客員教授の話「確かに個人情報漏洩(ろうえい)の危険性は大きくなるだろう。失うものよりも行政コスト削減と住民サービス向上など得るものが大きいからやる価値がある。個別の離脱を認めると得るものも小さくなる。日本全体にとって、得るものと失うもののバランスを十分に考慮した判決かどうか」
-------------------------------------------------------------------------------
 前川教授に敢えて反論すれば、今の住基ネットは、行政コスト削減にならず、住民サービス向上にならないのであるから、得るものは少なく、バランス論以前の状況にある。
 これによって、個人選択性の導入が拡大すると、今の住基ネットが瓦解するのは時間の問題となるが、かつてバブル崩壊時の不良債権処理を誤って経済再生を遅らせた責任が問われているのと同様、価値のないシステムの延命に無駄な税金を使い続ける関係者の責任問題が浮上することになるかもしれない。

 本気になって今の住基ネットシステムをリセットし、国集中のシステムから、基礎自治体主導の分散システムにすべきである。

投稿者 佐藤 : 2005年05月30日 23:29

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