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2004年07月20日
ADSL上り拡張方式の危険性

7月2日、TTCのスペクトル管理SWGにて、上り拡張方式が暫定合意した。
昨年の暮れから半年以上かけて、DSL事業者やchipベンダ間で、技術的というよりも営業的な要因で駆け引きが繰り返されてきたが、
各社のマーケット対策がこの時点で瞬間的ではあるが利害が一致して、大手事業者間で手打ちが成立した。
JANISは今でも、138KHzより上の下り用帯域を上り拡張に重ねる方式には反対であるが、
YBB、アッカネットワークス、NTT東西、イーアクセス、トーカイさんなどの大手事業者が一定の妥協をしてしまったため、
不本意ながらもこれ以上の混乱は避けざるを得ない、との判断で暫定案を受け入れた。
元々、JJ100.01第2版で想定していたのは、138KHzまでを上り、その上は1.1MHzまでを下りであったはず。
そのバンドプランを無視して上り用の帯域をどんどん高い周波数帯域に拡大すれば、自分の下りに影響を与えるとともに、他人の下り速度にも影響を与えることは自明。
どうしてこんな無謀な仕様がまかり通るのか?
上り高速化ニーズがあるから、という理由で、既存ユーザへの速度低下を真剣に配慮しない業界姿勢は問題だ。
にもかかわらずこのようなノイズばら撒きとなる各社の上り拡張方式を認めてしまったのは、JJ100.01準拠だからということと、新規ユーザ獲得競争というマーケット事情のようだ。
JJ100.01は最も悪い影響を与えるISDNを基準に干渉度を評価しているため、ISDNと同程度までの影響であれば合法なのだ。正に「悪法も法なり」、であり
ISDNの陰に隠れてISDNと同程度の干渉を与える方式を認めてしまうのが、今のJJ100.01なのだ。
NTTは「ISDNは既得権があり守られるサービスなのだから」と、ISDNを基準とした現行の干渉計算モデルを死守しようとしているが、
だからといって、ISDNと同程度の干渉を与える新方式をどんどん市場投入していったらどうなるのか?そもそもISDNはこれから減少する一方なのに、残骸だけが残ってノイズを撒き散らす。
このまま各社の上り拡張方式が広がっていくと、日本のADSL事情は干渉問題で悲惨な状況になることが懸念される。
長い目で日本のADSL市場を育てていかなければいけない事業者が、目先の客集めで、自らの首を絞めている。ばかげたことだ。
JANISは一貫してこの方式に反対してきたが、面白いことに他社はその時点での上り拡張方式への準備状況によって
反対したり、賛成したり、実にエゴ丸出しの論争が続けられたことも事実である。
上り帯域をどこまで拡張するかはchipベンダーによって異なる。
比較的穏やかな拡張に抑えたCo社chipに対して、悪法を目一杯活用して許される最大限までの干渉を与えかねないCe社chip。
そして、大手事業者は自らが使うchipベンダー仕様を正当化するために、既存ユーザを無視して、このchipベンダー対決に加わった。
というよりも、自らのユーザ獲得のために、chipベンダーにぎりぎりの仕様を作らせた、といってもいいだろう。
JANISは既存ユーザへの干渉を回避しながら、上りや下りを拡張するための別のアプローチを選択した。
上りは138KHzまで、下りは1.1MHzまでというJJ100.01第2版で想定したバンドプランをそのままに、
より上の帯域を上り拡張や下り拡張に使う ロングリーチVDSL方式である。
既に県内一部有線放送回線で、下り速度最大50Mbps、上り速度最大10MbpsのVDSLサービスを開始しているが、
8月からは、下り速度最大60Mbps、上り速度最大10MbpsのロングリーチVDSLサービスを予定している。
この方式なら、既存ADSLユーザへの干渉は従来のDMT‐Annex-Aと同程度のままで、近距離なら上りは10Mbpsまで可能となる。
しかも、近距離なら実質D2バンドまで使え、中距離ならD1バンドまでとなる。これが1つのchipで可能となった。
U0バンド(26KHz-138KHz)が上り
D1バンド(138KHz-3.5MHz)が下り、
U1バンド(4MHz-5.2MHz)が上り、
D2バンド(5.2MHz-8.5MHz)が下り、
U2バンド(8.5MHz-12MHz)が上り。
この方式は7月22日のTTC-SWGにて、JJ100.01に照らしてスペクトル適合性ありと認定される予定。
一部事業者はこの方式の足を引っ張りたいようであるが、2日に妥協した案よりはよっぽどましである。
投稿者 佐藤 : 2004年07月20日 17:42
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